レッシーぱぱの家・育児談話室/フリー・トーク #009

−−《男女共同参画》ふたたび――家庭における男女共同参画の意味−−

  「男女共同参画基本法(平成十一年法律第七十八号)」。1999年6月、さまざまな法案がどんどん可決されていろいろと議論される中、《男女共同参画》へのパラダイム・シフト(手本とすべき考え方の変化)をより鮮明に示す、ひとつの法案が可決され、官報での公布と同時に施行されました。
前回のフリー・トークで、「男女共同参画」の基本的なコンセプト(=さわり)をご紹介しましたが、今回はその条文や参考文献を通して、特に「家庭」における「男女共同参画」について、少し考えてみることにしましょう。

まず、「男女共同参画基本法」が定める、あたらしいパラダイムのフレームワーク(枠組み、概要)について、特に家庭に関係が深い部分をみていくことにしましょう。 最初に、この法律が目的とするところです。第一条(目的)よりも、前文の最後の一節の方がより簡潔にまとまっているので、こちらを紹介しましょう。
男女共同参画基本法・前文より
ここに、男女共同参画社会の形成についての基本理念を明らかにしてその方向を示し、 将来に向かって国、地方公共団体および国民の男女共同参画社会の形成に関する取組を総合的かつ計画的に推進するため、 この法律を制定する。
「男女共同参画社会」とはかくあるべき、という理念と、国を挙げてみんなで取り組んでいくべきことが謳われていますね。

二番目に、「男女共同参画社会」とは何か、用語の定義です。第二条第一項から。
男女共同参画基本法・第二条第一項より
「男女共同参画社会」: 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、 もって男女が均等に政治的、経済的、社会的および文化的利益を享受することができ、 かつ、共に責任を担うべき社会。
真の意味での「男女平等」を実現すること、男女が責任を分かち合うことが述べられていますね。ここが重要です。

三番目に、家庭生活における「男女共同参画」の基本理念です。第六条。
男女共同参画基本法・第六条
男女共同参画社会の形成は、家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、 子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、 かつ、当該活動以外の活動を行うことができるようにすることを旨として、行われなければならない。
子の養育、家族の介護……が、女性だけの責任でなく、男女の協力によって行われるべきであることが明文化されています。いままでのパラダイムとは、この点でまったく違っていますね。

四番目に、国民の責務(国民が責任をもって行うべきこと)についてです。第十条です。
男女共同参画基本法・第十条
国民は、職域、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成に寄与するように務めなければならない。
いわゆる「努力義務」ということで、厳密には「玉虫色」の決着ではありますが、国民ひとりひとりにこういう責任がある、ということを条文に盛り込んだ、という意味では、充分意義があるものと思います。

次に、実際の施策について、いくつか触れることにします。
前号に述べた厚生省のPRは、いい意味で「議論のきっかけを与えた」ことで、大変評価できると思います。
文部省では、「家庭教育手帳」「家庭教育ノート」等の家庭教育関連資料を作成・配布しています。配布されていない方も、こちらのページから、その内容を見ることができます。マンガや統計資料などをうまく使い、「家庭教育の方向性」に関する参考書として、非常にわかりやすく仕上げられています。ただ、それらは「必要条件」ではあっても、「十分条件」でないことについては、注意しておく必要があります。 そのほかに、「青年男女の共同参画セミナー」といった青年向け施策も実施されているようです。

さて、これらの法律や施策も、内容ある実行を伴わないことには、効果が出ないことは明らかです。それは、誰がどうやって、実現していくのでしょうか? 答えは、「国民ひとりひとり(=すなわちこの文をお読みの「あなた」)が、男女共同参画の考え方を尊重して、主体的に行動することによって」実現していくのです。
そのためには、次のようなことが重要になる、と私は考えます。
  1. 「男は仕事、女は家事・育児」といった「古い」考え方を捨て、「男も家事・育児」にかかわっていくこと。これは、子どもへの影響を考えるとき、夫婦が共稼ぎであるかどうかにかかわらず、大変重要なことです。 また、「男は仕事」という概念に翻弄されてしまうと、仕事を失ったあと大変惨めになってしまいますが、ほかに自分の価値をみつけておくことができれば、そういう思いになることも避けられるでしょう。
  2. 男性、女性にかかわらず、「家事・育児に積極的な男性」に対して、「変な目」で見ることなく、これからの時代にふさわしい価値観として受け入れること。男性に関しては、特に1項を参照ください。女性に関しては、そういう男性を夫に持つ同性に対して、「自分たちとは違う」といった特別な感情を抱いたり、無意識のうちに仲間外れにすることのないよう、留意したいものです。そして、できれば、各家庭で、男女の役割分担を見直す上で、彼らを積極的に参考にしてもらえれば、と思います。
私がこのサイト「レッシーぱぱの家」を開設して1年以上になりますが、「育児パパ」は、まだまだ少数派であり、かつ「どれだけ家事・育児に関わってきたか」ということだけが重視されてきているように思います。確かに女性にかわって男性が「育児休職」などすれば、男性自身の責任で子育てした、ということになり、それはそれで立派だと思います。
しかし、「男女共同参画」の基本理念では、「男女が共同責任において協力すること」が重要、となっています。すなわち、これからの「家事・育児」をはじめとする家庭生活には、男女がお互いの責任を明確にし、合意のもとに協力体制を作っていくことがなにより大事である、ということになります。実際にどれだけ男性が家事・育児に関わってきたか、という「量」の問題も大切ですが、それ以上に男女が合意し、できる範囲で協力して、ともに責任を負う、という「質」の問題が、これからはよりクローズアップされていくべきなのではないでしょうか。
「男女共同参画基本法」がわれわれに投げかけたものを真剣に受け止め、新しい時代の「家庭生活」と「家族関係」をより「心地よい」ものとするため、ひとりひとりが努力していかなければならない。いま、間違いなくその時が来ているのです。
(母子家庭、父子家庭の方、前回に引き続き、今回もごめんなさいね!)
 

前回に引き続き、「男女共同参画」に関するお話しになりました。  今回も、ぜひいろいろ論議したいと思っています。
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1999.07.13作成 1999.07.29更新
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