レッシーぱぱの家・育児談話室/フリー・トーク #006

−−労働諸法「改悪」再論・この国へのあまりにも大きな影響−−


前回の「フリー・トーク」で、「成立してからでは遅い!」と警告していた 「労働基準法改正案」が、9月25日、あっさりと参議院を通過し、成立してしまいました。 結局、明確に反対にまわったのは日本共産党だけ、というありさまでした。 これは、この国の「国民を豊かにしない」システムのひとつの典型、 ということができるでしょう。
正直なところ、このままではニッポンは破滅へと突き進んでいくのではないか、 という危機感すら、家主は持っています。 なぜこの法律の改正が「危機」なのか、われわれ庶民はどう対処すればいいのか、 というのが今回のテーマです。

ここで、今回「改悪」された労働基準法の、 特に日経連(日本経営者連合=昭和20年代の労働組合の"脅威"に対して、 企業側利益を代表する立場として結成された、いわば「財界の労務担当」) からみた目的について、再度触れておきます。
労働基準法改正の日経連(=企業側)からみた目的
・女子保護規定の解消による、女子への過重労働の合法的導入
・サービス残業の合法化による労働搾取の強化
・契約社員、派遣の規制緩和による「労働力の流動化」の促進
まず「女子への過重労働の合法的導入」については、「男女雇用機会均等法」以来の 男女差別の禁止を逆手にとって、いままで男子に限定(女子は一部職種を除き、 改正前の同法で強力に保護)されていた「深夜・休日勤務の規制」をほぼ全面的に なくしたことにより、企業は男性同様、女性も「好き勝手」に労働させることが できるようになります。 国際条約でも、「母性保護のための規定は、男女差別とはしない」 という条文があるにもかかわらず、そのことは全く無視されています。 これは、企業の側が育児・家事など、家庭運営を一切無視して、 従業員を「労働力」としてしか見ていないことを如実に反映しています。
ついで「サービス残業の合法化による労働搾取の強化」については、 いわゆる「裁量労働制」や「年単位の変形労働時間制」により、 残業手当を極小化し、企業側の人件費削減だけが図られる、 という内容になっていることです。 これは、われわれ庶民の暮らし向きを、確実に低下させるものです。
最後の「契約社員、派遣の規制緩和による『労働力の流動化』の促進」については、 われわれ庶民の「雇用不安」を増大させるとともに、契約社員、派遣社員の多用により、 福利厚生や退職金の積立といった、給与・賃金以外の人件費の削減に資するものです。

さて、これらの「改正」(当然庶民にとっては「改悪」)により、 われわれ庶民の生活は、そして企業の、ニッポンの未来は、果たしてどうなるのでしょうか。
  1. まず、「母性保護規定の解消」や「残業手当の削減」、「雇用不安の増大」により、 いま以上にますます子供を生みにくい世の中になる。 合計特殊出生率はさらに低下し、1.3どころか、1.2を下回る可能性も。 年金制度の危機も、いまの予想より早く訪れることは確実。
  2. 家計収入が実質減となる世帯が続出し、可処分所得が減少する上、 老後を子供と年金に頼れなくなることから、貯蓄への意欲がさらに高まり、 家計に占める消費性向はさらに低下。ますますモノが売れなくなる
  3. 子供が少なくなることで、将来にわたってたくさんのモノを消費してくれる層がどんどん減り、 企業業績の(10年、20年といったスパンの)長期低落傾向に歯止めがかからなくなる
  4. 企業業績が低落することで、さらに企業側の経費節減活動が強化され、 そのあおりを従業員がまっ先に受ける。こうして、さらに悪循環に陥る
まさに「一寸先は闇」の状態です。
それにしても、ちょっと考えれば、このようなシナリオは簡単に描けるはず。
それが描けないのは、政官財癒着と縦割り行政の最悪の欠点なのです。
この国は、いままでにもそのために、国民をいくらでも幸福にできたのに、その機を逸してきました。 そして今後も、ますます国民への負担を増大させ、 国民をどんどん貧しくしていこう、とする気配だけが感じられます。
これでは「ニッポン」は経済だけでなくその反映基盤をも一直線に滅亡に向かわせる、 という、まさにあってはならないことが現実化してしまいます。

しかし、暗い話ばかりしているわけにもいきません。 少しでもわれわれ庶民の生活をよくしていくために、 いったいどう対処していったらよいのでしょうか。
ひとつは、われわれ庶民の最低限の生活を守るために、 ひとりひとりがきちんと義務を果たした上で、堂々と権利を主張していくこと。 少なくとも育児・家事のために必要な時間が確実に得られるよう、企業側と交渉し、認めさせること。 もちろん、女性だけでなく、男性も主張でき、認められることが当然である。 それができない企業については、実名を公表し、断固糾弾すること。
もうひとつは、政官財の癒着、縦割り行政の弊害を払拭し、 総合的政策をきちんと考え、実行できる行政・立法のしくみを確立すべく、 選挙や各種運動を通して積極的に訴えていくこと。 本来の「行政改革」の目的は、無駄な行政コストの削減だけにあらず、 もっと重要な目的は、「総合的政策の立案と実施による、国民の利益の増大」にあったはずです。 それをきちんとできるようにするため、厳しく監視の目を光らせる必要があります。
いまのわが国は、個別に「少子化対策懇談会」などやっている場合ではないのです。 もっとマクロでものを考えないと、ひとつひとつの「改正」の内容が矛盾し、 どんどんおかしな方向へ進んでいってしまいます。 それを止めさせるのは、われわれ庶民の力でなくて、いったい何でしょうか。

そして、「総合的政策」のもとで、みんながある程度譲歩し、納得できる方向に向かえなければ、 この国はほんとうに「滅亡」してしまう、と真剣に憂慮します。 もっと危機感を持って、国民ひとりひとりが「国民の問題」に立ち向かっていくことが、 いま何よりも必要である、と考えるものです。

 相変わらずお固い内容でゴメンナサイ。でも、育児ママ・パパだけでなく、国民ひとりひとりにとって、生活の根源に関わる問題です。
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1998.09.29作成 1999.03.05更新
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