レッシーぱぱの家・育児談話室/フリー・トーク #005

−−成立してからでは間に合わない! 労働諸法「改悪」のこわさ−−


 育児ママ・パパにとって、命と愛情の次に大事なのはお金と時間。ところが、いま、育児ママ・パパからお金と時間を奪う法案が審議中なのを知っていますか?
 ひとつは、労働基準法の改正案。もうひとつは、労働者派遣法の改正案です。
 ところが、この「改正案」、いったいどこが改正なのか、首をかしげざるを得ません。
 ぜひ、育児ママ・パパから、この「改正案」を廃案にすべき、との声を大きくしたい、という趣旨で、今回の「フリー・トーク」はすすめていきます。
 「労働基準法の改正案」について  まず、労働基準法の改正案。ここにリンクしてあるのは、労働省のホームページにある資料です。 一見すると、なにかよさそうに感じられますが、実はそこに「わな」がひそんでいます。 この法案を、積極的に支持している大企業側の論理を見ていきましょう。
 (1)裁量労働制の拡大  「労働時間管理を本人の自主性にゆだねる」というのは、あくまでも建前。企業の側からこう言われたら、おしまいです。
「わが社は各社員に対し、どうしても残業が必要な仕事量を与えてはいない。 残業するのは、その社員の仕事の効率が悪いからであり、『裁量労働制』の適用により、来月から各自の勤務時間を自主管理とする。 なお、このことで、会社としてさらに経費が節約でき、業績への寄与も期待できる。 業績があがれば、その分は社員にも昇給を増やす形で還元できるであろう。」
 どうでしょう。会社としての本音は、あくまでも「残業代を出さないように」し、「利益を少しでも多く確保する」こと、それしかありません。 最後の文は、単なるリップ・サービスと考えましょう。言葉通り実践する経営者は、ほとんどいませんね。
 (2)年単位の変形労働時間制  育児ママ・パパにとっては、年間を通じて勤務時間が固定であることが、保育所との関係などからみても、当然望まれるところです。 しかし、この制度は、そのことを保証できなくします。
 例えば、年間でも、3−4月、6−7月、12−1月に仕事が集中する会社を考えてみます。
 会社側は、こういうことができるようになるのです。
 「今後会社は、繁忙期と閑散期にわけ、勤務時間を柔軟に変更し、できるだけ少ないスタッフで、効率よく仕事をすすめられるようにする。 そのため、来年から、3−4月、6−7月、12−1月の6か月は、朝8時30分から夕方7時まで、昼休みをはさんで1日9時間30分勤務に、 他の月は朝9時30分から夕方5時までの1日6時間30分勤務とする。」
 朝9時30分から夕方5時までの勤務となる6か月間は助かるかも知れませんが、朝8時30分から夜7時までの残りの6か月間は地獄です。 保育所が6時半で閉まってしまうとしたら、迎えにも行けません。 いったい、育児パパ・ママがそんな環境で仕事を続けられるのでしょうか?
 (3)労働契約期間に上限を設定  ちょっと見ではわかりにくい条文ですが、こう考えましょう。
 「わが社では、すべての新規事業プロジェクトに関し、3年をめどに、単年度で利益をあげられない場合、その事業から撤収することに決した。 したがって、新規事業プロジェクトに従事する社員は、すべて3年を上限とする契約社員とし、 3年間で利益をあげられた場合、事業ごと本社の正社員へ吸収し、そうでない場合、契約社員は全員解雇する。」
 1年を上限とする契約ではできなかったこのようなことを、企業が大手を振ってできるようになるのです。 これは、労働者の安定雇用を妨げる以外のなにものでもない、とはいえないでしょうか。
(4)女子保護規定の解消  女子がいままで従事できなかった業務へも進出できる、と喜んでいる方もいらっしゃるかもしれません。 しかし、世の中はそう甘い汁ばかりの世界ではありません。 特に、育児ママにとって、これは深刻な問題を抱える「改正」内容です。  「会社は、男子だけでなく、女子についても、会社の『戦力』として充分に貢献してもらうことが大事だと考えている。 このたび、女子だけの残業時間規制がなくなったので、男子同様、必要に応じて深夜時間帯を含む長時間の残業や休日出勤も辞さず、しっかり与えられた職務を遂行して欲しい。 当然、勤務評定には、遂行した職務の量と質が、いままで以上にシビアに反映するので、そのつもりで。」
ひょっとすると、育児ママにとって、(2)よりももっと悪い状況になるかも知れません。 なぜなら、時間外勤務については、労働省の資料にはありませんが、参考文献を総合すると、 「労働大臣が上限につき基準を定めることができる」としているだけで、 法的拘束力(違反した場合の罰則規定など)は皆無、だというんですから。
 (5)年次有給休暇の付与日数増加  一応触れておきますが、増加日数は2年半以上勤続した場合わずか1日、しかも(3)のような3年契約社員を考えると、全く実効なし。 しかも、上級社員になればなるほど、有給休暇を取りきれていない実態を考えると、ほとんど意味がないものと言っていいでしょう。 それよりも、もっと労働者ひとりひとりが有給休暇を実際にきちんと消化できる (そこの外資系企業のあなたも、とっていない有給休暇を取ったことにしていませんか? 私もそうですが) ような対策を考えるべきです。

 「労働者派遣法の改正案」について  次に、労働者派遣法の改正案です。こちらのほうは、さらに内容が一般に伝わってきません。 しかし、労働基準法改正案の(3)に輪をかけてひどい法案です。
 その理由は、「いままで職種を限定して適用していた『派遣労働者』の従事可能な業務を、 企業の中核業務であるホワイトカラーのデスクワークや工場の生産業務にまで広げる」 ものであるからです。すなわち、企業は、本来正社員が就くべきこれらの業務をすべて派遣社員に任せ、 人件費を節約するとともに、『人材の流動化』を図る。 その結果、われわれ労働者の雇用はさらに安定を欠くものとなるからです。

 どうでしょう。充分おわかりいただけたものと思います。 こんな法案が通ったら、この国はもはや少子化どころではなく、子供を産んで育てていく余裕のない、世界最低の展望を持つ国になってしまうのではないでしょうか。  そして、そういう大切なことが一般に広くわかりやすく知らされていないことにも、同時に怒りを覚えます。
 国民のことは国民が決める。政界・財界・官界の人たちだけで決めさせない。 そういう動きを、せっかく参議院議員選挙でいままでの政治に"No!"を表明したいまだからこそ、 しっかりしたものにしていく必要がある、と考えるものです。
参考文献(いずれもインターネット上のページです)

 今回の話題はちょっと堅すぎたでしょうか。でも、育児ママ・パパにとっては、生活の根源に関わる問題です。
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1998.08.08作成 1999.03.05更新
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