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(前面から続く)
それでは、「専業主婦」の夫・アンケートの結果分析において、
特に注目された相関関係について、触れていくことにします。 コミュニケーションが苦手なことは、育児においてもハンディキャップとなる
[該当質問:1−(g)(p)] 最も意外な相関? 書籍・新聞・雑誌で勉強−妻との関係が密に−(でも)母親にはかなわない
1(k)の質問は、育児を通して夫婦仲がどうなったか、という質問を通して、 ほんとうの意味で夫婦での「育児」ができているかを問うた、 いわば「キー・クエスチョン」(「わからない」が2名いたのは、それを見透かしてか?)。 1(m)の質問は、1(n)とセットなのですが、私自身が興味本位で入れた質問。 5の質問は、卒業論文作成者が、どうしても、と私のところに追加要求してきた質問。 これらの問題が相関関係で結ばれてきたのですから、本当に驚きました。 (でも、一般にアンケートでは、「そういう(予想外の相関が出る)期待」をこめて、 興味本位の質問を加えることがままあります。) まず、「育児参加してから、妻との関係がそれまで以上に密なものになった」ことを結論として、 そのための要因を探した結果、浮かび上がってきたのが表2-2にあげた 「育児や父親をテーマとした書籍や新聞・雑誌の記事をよく読む」ということでした。 後者の質問に肯定的に答えた人で、前者に否定的に答えた人がいない、 というところだけが有意なのですが、 やはり男性が育児参加する上では、 育児知識を得るための情報源と時間の確保という「努力」が有効である、 ということを示しているとみてよいでしょう。 そして、それより驚かされたのが1(k)と5「努力しても妻(母親)にはかなわない、と思うことがある」との相関です。 これは表2-3にある通りほぼ完全な相関であり、一家の大黒柱としての夫、専業主婦の妻、という関係では、 まじめに育児参加すればするほど父親は母親にかなわないと思うようになる、ということを意味しています。 これは大変重要なことです。 一般に「立派な育児パパ」とは、「産休をとって[専業主夫]した人」という認識が一般的です。 彼らは少なくとも家事・育児を一人前にこなし、妻と同等あるいはそれ以上の実績を作っています。 それゆえに、「妻(母親)にはかなわない」と思うより、 「かなり対等にこなせる」自信を持たれているように思います。 しかし「専業主婦の夫」という立場では、 いくら「やるからには女性に胸を張って『私が育児しました』と言えるように」*1なれと言われても、 そのような「立派な育児パパ」にはなれない、 その前に、「育児を主導するママ」という大きな壁が立ちはだかっている、 というメッセージが、そこにははっきり見えています。 このことを夫婦がともに知った上でともに育児していくことが、 特に専業主婦とその夫、という夫婦にとっては絶対に必要となるのではないでしょうか。 次のページでは、フリーコメントの分析と全体のまとめを行います。 |
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*1 「やるからには女性に胸を張って『私が育児しました』と言えるように」
……「男も女も育児時間を!連絡会」内・太田睦氏による
「これからお父さんになる人のために」から拝借しました。